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【読書メモ】ゲームAIを学ぶ〜知能があると錯覚させる事が何故可能かを説明する3つの科学的根拠〜 1.2 Why the Illusion Works

 

最初に

本記事は以下の本から得た知見を自分用のメモも兼ねて要約したり、まとめた記事となります。ただし本の内容をそのまま書き写ししたり翻訳しているわけではなく、自身で調べたものや感想が大幅に混じっています。あと英語力が足りないため意味合いも違うかもしれません。参考程度に見てもらえればと思います。あと間違ってたら教えてもらえると嬉しいです。

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https://www.amazon.co.jp/Game-AI-Pro-Collected-Professionals/dp/1498742580

 

この本は英書のため、ちょっとずつ読んでいこうと思っています。気長にお付き合い頂けると嬉しいです。 

1.2 Why the Illusion Works

ゲームキャラに本物の知性がある!とプレイヤーを騙す事が科学的に可能である理由が、この章で述べられているようです。

 

ここでは「プレイヤーが錯覚から受ける影響」に対して働きかける、以下の3つの事を紹介しています。

 

 

  1. プレイヤーはゲームキャラクターに対して、「リアルな人間レベルの知性がかすかにある」と信じたがっている。
  2. 人は、機械とか生物とか、人間の特徴や感情がない物を擬人化したがっている。
  3. 「期待」はプレイヤーの心の中で、容易に実現可能。

 

では、1から順に見ていきましょう。

 

1.2.1 Players Want to Believe

プレイヤー達は実際、錯覚させられる事にノリノリです。むしろ喜んで参加しています。

 

彼らは、偽物であるゲームキャラクター達が人間のような特性を持っていると信じようとします。そのためなのか、プレイヤーは信じられないほど寛大な心を持っています(ゲーム内の人物が明らかな間違いを犯さない限りですが)。

 

プレイヤー達は単に「錯覚を共有したり、充分に錯覚させられるための正しいヒントと助言」を必要としています。

↑この部分だけわかりそうでわからない状態になっています。ゲームにおけるヒントシステムや、AIにおける行動ルーチンのことを指しているのかなーとか考えてます。

 

1.2.2 Eagerly Ready to Anthropomorpize

人は、物質や生物について話す時に、まるでそれらが人間であるかのように話します。

 

例えば、あの車は気性が荒いとか、最近摘んできた花が悲しみ始めたように見える、とか。

確かに私たちも普段から物に対して、まるでそれが人であるかのような表現方法を使いますね。それどころか、食べ物を擬人化したり艦隊を擬人化したりと、日本は擬人化大国な気がします。あ、話が逸れました。

 

こういった「物の擬人化」はごく自然に起こるように思えます。

 

神経科学者によって導き出された一つの理論では、私たちが人間について考えた時と、人間以外の物について考えた時の脳の使用部分は類似しており、それがどうやら関連しているのではないか、ということです。つまりこれは、擬人化は私たちが人々について考える時と同じようなプロセスを利用した結果であることを示唆しています。

 

これはおそらく私たちの脳に結び付けられている一種の誤帰属でしょう。ちなみに恋愛テクニックとしてよくあげられる「吊り橋効果」も誤帰属に関連した実験の一つです。

 

もう一つの説では、人々が「自分が理解できない行動」を理解しようとする時に、人間の特性をそこに当てはめるというもの。これが先ほどの、「花が彼枯れ始めている」ことを「花が悲しみ始めたように見える」と例えることかと思われます。

 

したがって、ゲーム内の人間のような物が何らかの行動を示した時に、私達はまず人間のような特性を最初に当てはめます。

 

これをゲームAIに活かすことで、実際の人間の知能とAIとの交絡は非常に強化されます。

 

ここで私たちはゲーム開発者として、キャラクターが人間と同様に見えるように、人型のアバターやアニメーション、動き、ボイスを実装します。

 

擬人化は「錯覚」を促進させる、有難い効果なのです。

 

1.2.3 The Power of Expectations

「期待」は、私達がどのように感じるかを強力にコントロールします。

 

例えば、貴方がワインをとても高価なものであると信じているならば、貴方はワインがより美味しいと思うだけでなく、実際の楽しさがより多くなることでしょう。

 

CaltechStanfordの研究者達は、人々に45ドルのワインと5ドルのワインを人々に贈りました。ただし実際の中身のワインは両方とも同じものです。脳撮像を使用して、彼らはあることを発見しました。それは、5ドルのワインを飲んでいる時に対して、高価だと信じ込んでいる45ドルのワインを飲んでいる時の方が、参加者の脳はより喜びを感じているということです。

 

同様に、プラシーボ効果もまた、人間にとって本当の現象であり、「期待」のメカニズムで作用する可能性があります。

 

プラシーボは、患者を欺く事を目的としており、病状に対して医学的には無効の治療法です。しかし、この無効な治療法を人に施すと、その人はしばしば良くなっているように感じたり、実際に改善されることがあります。これはプラシーボ効果、またはプラシーボ反応と呼ばれます。

 

脳撮像技術は、プラシーボが無視できないほど重要な生物学的変化を、実際に脳にもたらす事を明らかにしています。

 

このプラシーボ効果は患者の認識と期待に起因すると考えられています。

 

間違いなく、「期待」は私たちの体験に強い影響を及ぼす可能性があります。これは、知能を錯覚させる事を促進するのに、大きな影響を与える可能性がある事を強調しています。

最後に

さて、次回は錯覚を強化させるための6つの手法的な部分を読んでいこうと思います。流石に長いな、前半で3つ、後半で3つにしようかな。